シーサートをうまく機能させるには、従業員全員の理解があってこそ
YOMIURI ONLINEにおいて、「被害拡大防止に必要な「サイバー消防隊」」として、シーサートに関する記事が取り上げられています。
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⇒http://www.yomiuri.co.jp/science/feature/CO017291/20160720-OYT8T50000.html
シーサートについては社内に設置している、また、これから設置しようとしているという企業も少なくないとは思いますが、実際に設置している企業において、自信を持って
「我が社のシーサートはどんな有事の際にも立派に機能する」
と答えられる企業はどれくらいあるでしょうか?
立派に機能するかどうかの試金石は、従業員がどれだけわかっているか?
シーサートを設置されている企業の上層部、また、担当者は、「ウチのシーサートは大丈夫」と自信を持って言うかもしれません。
しかし、情報セキュリティとは全く無縁の部門、例えば、営業部門に所属するアシスタントの女性に、自社にシーサートが設置されていること、また、シーサートが果たす役割、そして、どんな時にシーサートに連絡をしなければならないか?について尋ねたときに、明確な答えが返ってこなかったら、その会社のシーサートはきちんとは機能しないかもしれません。
どんなに立派でしっかりしたシーサートを作っても、従業員の誰もその存在を知らない、もしくは、名前は知っていても、何をやっているのか知らない。というのでは、どこにしまったかわからなくなってしまったタンス預金と同様に役には立たないものです。
自社のシーサートが立派に機能するかどうか?それは、
従業員全員がシーサートについてどれだけ理解してくれているか?
であり、理解してもらうためには、
従業員に対する情報セキュリティ教育をどれだけしっかりやっているか?
に依ります。周りから言われてシーサートは作ったけれど、従業員教育はおざなり。という組織では、シーサートが満足に機能することはないでしょう。
シーサートの担当者に繋いで下さい。と言われて電話がたらい回しになったりしませんか?
シーサートがまともに機能しない例の一つは、電話がたらい回しになる。ということでしょう。
外部からシーサートの担当者宛に電話がかかってきても、
「シーサートなんてウチにあったっけ?」とか、
「シーサートってどこの部署にあるんだっけ?」
なんて話になり、総務部に回せとか、情報システム部に聞けばわかるんじゃないの?なんて話になって、電話がたらい回しになる。なんていう状況では、外部から情報漏えいに関する情報がもたらされても、シーサートの担当者に迅速に繋がるかどうか怪しいものです。
ましてや、「シーサートって何?間違い電話なんじゃないの?」なんて社員が言うようでは、もはや論外でしょう。
シーサートを設置することは、それはそれで大事なことですが、実際に機能させるには、従業員全員にその存在を知らしめ、どのような時にシーサートに連絡をしなければならないか?そして、連絡先はどこか?をしっかり知らしめておかなければ、まさに絵に描いた餅のようになってしまいます。
シーサートを機能させるには、従業員全員に対する普及・啓蒙・宣伝活動も大事な仕事の一つだということです。
このことをわかっていて、日頃から従業員との関わりに心を砕いているシーサートであれば、イザという時には従業員の協力によって、十分立派にその役割を果たせると思いますが、従業員との関わりもなく、その存在自体をあまりよく知られていないシーサートだったとしたら、果たしてどうでしょうか?
事件は会議室で起きるんじゃない。現場で起きるんだ。
「踊る大捜査線」の名コピーではありませんが、セキュリティに関する事件・事故は、必ずしもシーサートの担当者の目の前で起きるわけではありません。むしろ、担当者がいない場所で起きる、また、発見されるケースの方が断然多いでしょう。
外部からもたらされる情報も、シーサートの担当者の電話に直接かかってくるケースより、代表番号などにもたらされるケースの方が多いかもしれません。
つまり、シーサートが初動を起こすきっかけは現場にこそ存在する。ということであり、その現場にいる従業員に、シーサートについての理解や知識がなかったら全く話にならない。ということです。
我が社にもシーサートが必要。ということで、人員を集め、体制作りに忙しく立ち回ることも大事なことではありますが、どれだけ立派な体制を作っても、機能するきっかけがなければ意味がありません。
現場で発生するきっかけをきっちり捉えて迅速に初動が起こせる状況を作ること。
立派な体制を作るよりも、まずはこれが一番大事なことだと思います。
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