標的型メールは見抜くことが難しい。は誤りです

第3話 スコープを決めよう

訓練実施の目的を決めたら(とりあえずの目的でも構いません)、次は訓練実施のスコープ(範囲)を決めます。

訓練を実施するからといって、必ずしも全社を対象にしなければならないということはありません。実施の目的によっては、特定の部署やメンバーに限定して実施したり、自分たちのコントロールの利く範囲で小さく実施するといったことを考えることも必要です。

スコープを考えずに訓練を実施すると痛い目を見ることもある

ワンフロアで運営しているような小さな組織であれば、対象範囲など考える必要はないかもしれませんが、事業所を幾つも保有しているような大きな組織になってくると、訓練実施の対象範囲を考えることは重要な作業になります。

初めて訓練を実施するというような場合は、訓練実施によって何が起こるか?の経験が無いため、いきなり全社に対して訓練を実施すると手痛い目を見ることがあります。具体的には以下のようなことです。

・従業員への周知が行き渡らず、クレームが多数発生した。
・システムの関係で、訓練メールが届かない人が発生した。
・業務に支障が生じ、社内でトラブルとなった。

こうしたトラブルが発生してしまうと、「もう訓練などするな」といった話も出かねません。感情論から訓練実施が否定されてしまうのは、長い目で見れば組織にとってプラスではありません。初めて訓練を実施されるのであれば、まずは対象を特定の部署に限定するなど、小さく始めることをお薦めします。対象範囲が小さければ、コントロールは利きやすく、また、各種調整に関わる人の数も少なくなるので、準備も進めやすくなります。

また、訓練メールの内容によってどれくらい反応が異なるのかを調べるといったように、A/Bテストのようなことをするのであれば、それぞれの対象をどこに設定するかは結果にも影響してくるだけに、きちんと考える必要があります。

訓練実施対象によっては目的も柔軟に変える

訓練は1度しかやってはいけないなどということはありませんし、また、全社的に同じ目的で実施しなければならないということもありません。訓練実施の目的も、準備を進めていく中で「合わないな」と思うことが出てきたり、「先にやっておくべき」と思われることがでてきたら、柔軟に変えていくことも検討するべきです。

訓練サービスを利用するような場合、訓練の目的や実施範囲を決めずに契約だけ先に済ませてしまうと、「もう契約してしまったので、今更対象範囲を小さくする事なんてできない」などといった話が出かねませんが、現状にそぐわない訓練を、「契約してしまったから」という理由で続行するなどというのは本末転倒な話です。

専門業者が提供する訓練サービスを利用されるのも一つの方法ですが、もし、専門業者に委託をされるのであれば、訓練の目的や実施範囲などについて把握した上で、自社に合った訓練の実施案を提示してくれるかどうかを確認してみて下さい。

本当に頼れる業者というのは、こちらの希望を鵜呑みにするのではなしに、こちらが思ってもいなかったようなことを指摘してくれたり、時には耳の痛いような話もしてくれたりするものです。

目的とスコープを決めることは、訓練実施を効果的なものにするためには欠かせないものです。漫然と決めることはできますが、この2つがぼやけていると、得られる結果もぼやけたものになります。折角訓練を実施するのであれば、ぼんやりした結果しか得られないというようなことは避けたいものです。

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