どんな手を使ってでも稼ぎたいと考える人達にカモられないために
フィッシングメールもそうですが、架空請求のメールもまた、手が込んでいます。標的型メールと共通する部分が多いだけに、この種のメールにひっかからないようにする知識は身につけておくべきでしょう。
架空請求の被害に遭うことについては個人の問題かもしれませんが、架空請求にひっかかってしまうような人が、標的型メールには引っかかったりしないとは言えないはずです。
個人のセキュリティについては、各個人が責任を持つべきもの。ではあるけれど、セキュリティレベルに難がある個人を従業員として抱えることは、企業にとってリスクになり得ることを考えれば、企業側は個人の問題として片付けてしまっていいとは言い切れないと思います。
これが実際に送られてきた架空請求のメール
以下は、携帯電話宛に実際に送られてきた架空請求のメールです。文面を見ればわかるとおり、結構手が込んでいます。
実際の法律名や、実在する団体の名前を勝手に使っており、フリーダイヤルの番号を掲載しているあたりは、法律の内容などについて知らない人からすると、本当の事として信じてしまいそうな内容になっています。
問い合わせ先として、わざわざフリーダイヤルの番号まで用意しているということは、このメールを出した人達は、架空請求を事業として行っているということです。
この手の犯罪というと、詐欺師が個人で仕掛けているようなイメージを想像するかもしれませんが、実際はもっと組織的に行われていて、この手の行為を行っている事業者の名前が自治体などのホームページで公開されていたりします。
犯罪者側は事業として行っているのですから、まっとうなビジネスと同様、綿密に計画され、収益を上げるために、心理学などの知識も駆使して、手の込んだ仕掛けをしてきます。
仕掛ける側は相当に勉強をして仕掛けてくるわけですから、こちらがノホホンとしていたら、カモられてしまうのは当然でしょう。何も対策していない時点でこちらが圧倒的に不利だと言っていいかもしれません。
ネットに関する基本的な知識を教えることは、もはや従業員教育の一つに加えるべき
プロバイダーなど、通信事業者には個人情報開示の依頼が多く寄せられますが、捜査令状を提示するなど、所定の手続きを踏まない限りは、通信事業者が携帯電話の契約者などの情報を開示することはありません。
裁判所からの命令など、相応の法的根拠が無い限りは、たとえ相手が警察だろうと、当該人物の家族であろうと、情報を開示することはないので、どこぞの調査会社が行う身辺調査のために、携帯電話会社が契約者情報を開示することは100%ありえないわけです。
こうしたことを知っていれば、メール本文の記述がおかしいことにすぐに気がつくはずです。
また、きちんとしたメールマナー、ビジネスマナーを身につけていれば、こうした重要な内容は書面で送るべきものであり、宛先となる個人名や具体的な契約の内容、また、請求元の会社名をきちんと記載すべきであるので、こうした点でも、おかしいことにすぐに気がつくはずです。
従業員教育というと、電話の取り方や接客マナー、仕事の進め方などが主たる内容となっていることが多いかと思いますが、標的型メールの被害に遭わないようにするためにも、また、メールに関するマナーも接客技術の一つとして捉えるという点でも、ネットに関する基本的な知識・マナーを教えることは、従業員教育における必須項目として加えるべきではないかと思います。
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