「知らない」ということを知らないことが、リスクだということを知ってもらう
生徒が5万円を負担する形で授業にタブレットを導入した佐賀県。希望者ではなくて、生徒全員が5万円を負担するという施策に賛否両論がありましたが、授業で使ってみたら、生徒が一斉に教材をダウンロードしようとしたためにネットワークやサーバに負荷がかかり、授業時間中に使えない学校が続出したとのこと。
知識さえあれば未然に防げたはずの事故は多い
学校の先生はITのプロではないので致し方ないとはいえ、ネットワークやサーバに関する知識があれば、こういったトラブルが起きそうなことは事前に予想できたかもしれません。このような例に限らず、知っていさえすれば防げたはずの事故というものは多々あります。
例えば、登山ブームによって、そこらの観光地に出かけるのと変わらないような服装・装備で山に出かけて遭難したり、事故に遭う人が増えているといった話も、知っていれば防げたはずの事故の一例と言えると思います。
「知らない」ということに気づいていないから事故が起きる
知っている人なら決してやらないようなことを、知らない人はやってしまう。そして事故を引き起こしてしまう。知っていれば思いとどまるところを、思いとどまることができないのは、「知らない」ということに自分が気づいていないからに他なりません。まさに、「知らない」ということを知らないことが、リスクになっているわけです。
自分が知らないことは、その存在にすら気づいていないので、「知らないことに気づこう」と言っても、気づくことは難しいものです。しかし、もしかしたら自分が知らないことがあるかもしれない。と考える習慣があれば、知らないことを知ろうとするアクションに繋げることはできます。
自己防衛本能に刻み込むことは「予防力」のアップに繋がる
知らないことがあるかもしれない。と考えるクセをつけるには、「知らない」ということ自体が、自分にとってリスクになっていることを、体験や見聞によって知り、自己防衛本能に刻み込むしかありません。逆に、自己防衛本能に刻み込むことができれば、体が危険を回避しようとして、自然と「何かリスクがあるかもしれない」と考えるようになるというわけです。
この点、模擬訓練の実施によって、知らなかったこと・気づいていなかったことをあぶり出し、自分が知らないこと、気づいていなかったことに気づくきっかけを作ることは、自己防衛本能に刻み込むための「強い刺激を与える」有効な手段と言えます。
「「知らない」ということを知らない」ということに気づいてもらうことで、組織としての「予防力」アップに是非繋げたいものです。
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