標的型メールは見抜くことが難しい。は誤りです

インシデント問題を解決する、セキュリティ教育のユニークなアイデア

セキュリティ教育をどれだけ実施しても、相変わらずセキュリティインシデントは無くなりません。トレンドマイクロ株式会社が実施した、「組織におけるセキュリティ対策実態調査 2014」によれば、回答者全体の66.2%が、「2013年の1年間において、組織内で何らかのセキュリティインシデントが発生した」と回答しているということですから、セキュリティ教育は果たして効果があるのだろうか?と思う方が出てきても不思議ではありません。

放置自転車問題を一瞬で解決したあるコトバ

セキュリティインシデントがなくならないのと同様、駅前などの放置自転車問題もまた、深刻な問題です。

ご存じの方は多いと思いますが、「伝え方が9割」という書籍の中で、この放置自転車問題を一瞬で解決したコトバの話が出てきます。

「自転車放置禁止」とか「ここに自転車を置かないで下さい」といった立て看板を出して、自転車を置かせないようにするといったやり方はありがちです。

同じように、セキュリティ教育においても、「鞄の置き忘れに気をつけましょう」とか、「怪しいメールは開かないようにしましょう」といったアナウンスをして、インシデントの発生を防止しようというやり方もまた、ありがちなことです。

で、放置自転車の問題の場合はどうしたか?というと、その方法は至ってシンプルで、

「ここは自転車捨て場です」

と書いた立て看板を出すというものでした。
自転車を放置するような人は、わかっていてあえてそうしています。だから、「自転車を置くな」と言ったところで効果があるわけがありません。しかし、「自転車捨て場」と書かれたら、そこに置くということは、自分の自転車を捨てるということになります。看板の口上がウソだとわかっていても、いい気分はしません。

誰も、嫌な気分になってまで自転車を置きたいとは思わないでしょう。その様な心理効果によって、一瞬で放置自転車問題を解決してしまった。というわけです。

同じようなことは、セキュリティ教育においても言えるのではないでしょうか?

無謀運転を減らす、萌えカーナビ

放置自転車問題を一瞬で解決する「コトバ」があるかと思えば、無謀運転問題を一瞬で解決する「アイデア」もあります。

「萌えカーナビ」こと、ユピテル社の「レイナビ+」は、カーナビの画面に「萌えキャラクター」が登場するユニークなカーナビです。

このカーナビのどこが素晴らしいのかというと、車の運転状況をカーナビが記録し、その記録によってキャラクターの表現が変わるというところです。

無謀な運転ばかりしていると、キャラクターのレイちゃんに怒られてしまうので、キャラクターに感情移入している運転者は、自然と安全運転をするようになる。というわけです。

感情移入してしまうというところまではいかないまでも、ゲーミフィケーション要素を採り入れることで、特定のボーナス画面を見たいがために、安全運転を心がけるようになるというアイデアもあると思います。

セキュリティ教育も、もっともっと面白くなっていいと思う

これらのアイデアが示してくれていることは、「アイデア次第で人の行動は変えられる」ということ。

実際のインシデント事故の事例を出して、セキュリティ事故に注意しましょうと促すのも一つの方法ですが、頭をひねり、ユニークなアイデアで問題を解決しようとするアプローチがもっとあってもいいと思います。

「DEFCON CTF」もユニークなアイデアですが、他にも、誰もが熱中できたり、感情移入したり、身を乗り出して見入ったりしてしまうような、面白いアイデアが出てくることで、結果的にインシデント問題が解決できてしまう。というものもあるのではないかと思います。

セキュリティ教育の分野において、このような「金鉱脈」とも言えるようなアイデアを掘り出せたら、今ならかなりの注目を集められると思います。

セキュリティ業界にいらっしゃる方、また、セキュリティ教育を担当されていらっしゃる方は、是非、ユニークなセキュリティ教育のアイデアの掘り起こしにチャレンジしていただきたいなと思う次第です。

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