標的型メールは見抜くことが難しい。は誤りです

家庭を、そして家族を守ろう!それこそが組織を守る事になるのだ

牛丼チェーンの「すき家」など、人手不足により、店舗の閉鎖を余儀なくされている外食チェーンなどの話題は記憶に新しいかと思います。

景気低迷で人余りの時分には、企業側はより安く使える人材を採用することで、競争力を維持するモデルを構築することができましたが、「結婚することができない」とまで言われるほどの収入しか得られない働き手のモチベーションは、下がることはあっても上がることはなく、それが結果的にサービスの質や、作業効率などを落とすことになり、業績が落ちていく負のスパイラルへと繋がっていく状況となっています。

人件費を削れば目先の業績は良くなるかもしれませんが、企業に利益をもたらす源泉は「人」。その「人」を無視して業績を上げようとすれば、長期的にはマイナスをもたらしてしまうことになります。目の前に見える事象だけで物事を考えてはいけないということは、言われてみればあたりまえのことなのですが、意外にできていないのが現実です。

プライベートはパブリックに影響をもたらす

仕事とプライベートは別。というのは、社会人としての常識ですが、それゆえに、会社がプライベートに立ち入ることはあまりありません。

子育て支援としての育児休暇制度などはありますが、プライベートの状況がどうであろうと、公私の区別はきちんとして仕事に臨んで下さい。というのが会社のスタンスです。これはどこの会社においてもそうでしょうし、社員としても、仕事にプライベートを持ち込んではいけない。と考えるのが普通です。

しかし、これも程度問題で、「結婚することができない」ほどの収入状態にあるプライベートの状況を忘れて、仕事に打ち込むことができる人は、そう居るものではありません。

プライベートの状況があまりにも不安定となれば、仕事に影響をもたらすのは必然です。「プライベートを忘れて会社に奉仕せよ」というのは、時として無理があるのです。

人余りの時代なら、「他に幾らでも人材はいる」で通用するかもしれませんが、人余りという前提が崩れれば業績に影響をもたらしてしまうことは、外食チェーンの例が反面教師としてそれを伝えてくれています。

他に幾らでも人材はいる。という考えは、狩猟民族的な考えです。狩猟民族の生活が不安定であったことから、農耕民族が生まれたことはご承知の通りです。「人材」についても、農耕民族的な考えを採り入れるべきでしょう。

セキュリティにおいても同じ事が言える

プライベートの状況がパブリック(会社)にも影響を及ぼしてしまうことがあることは、先に述べたとおりですが、これはセキュリティにおいても当てはまります。

会社のセキュリティというと、入口対策や出口対策、また、内部犯行といった、会社で起こることに目が行きがちですが、それだけでは十分ではありません。

今や、幼稚園児でもタブレットを持つ時代になりました。某自治体では、小学1年生からプログラミングの勉強を始めるそうです。家庭でもインターネットを使うのが当たり前となり、子供が日常的にスマートフォンなどを使うようになることで、子供がネット犯罪に巻き込まれるケースも増えてきました。

また、オンラインバンキングのフィッシング詐欺や、ログインパスワードが盗まれてしまうことによって引き起こされる脅迫事件など、プライベートで起こる事件がニュースなどで報道されるケースも増えてきています。

これを対岸の火事のように見る人は多いですが、あなたの会社の社員がこのような事件に巻き込まれれば、当然、プライベートに影響が及びます。

フィッシング詐欺によって生活費が盗まれてしまったり、娘さんの裸がネットにばらまかれるようなことにでもなれば、落ち着いて仕事などしていられないでしょう。公私を区別して仕事に打ち込めと言ってもそれは無理な話です。

それが会社のキーマンとされるような人材なら、会社の業績に目立って影響が及ぶ可能性もないとは言えないはずです。

また、プライベートでの脅迫事件が、会社の情報を漏洩させる内部犯行へと繋がるケースだって無いとは言えません。ことセキュリティにおいては、プライベートは個人のこととして、対策や対応を個人に任せるという考えは、会社にとっては危険を放置するに等しい行為とも言える状況になってきているのです。

とはいえ、会社がプライベートに立ち入り、家庭でもセキュリティ対策をやっているかどうかチェックする。などというのは無理な話です。しかしながら、セキュリティ教育などを通じて啓蒙を図るといったことは可能です。

例えば、忙しいお父さんに代わって、会社見学を兼ねて子供達を会社に招き、セキュリティ教育を行うといったことはできるはずです。お父さんの仕事を理解してもらいながら、セキュリティ教育をすることによって、家庭で発生しうるリスクを低減する。これは一石二鳥にも三鳥にもなりうる施策ですが、コストはあまりかかりません。

セキュリティ教育というと、仕事上でのセキュリティ対策ばかりに目が行きがちで、プライベートでのセキュリティ対策については公私は別ということで、個人に任せきりという会社は多いと思いますが、プライベートで発生しうるリスクに対して、それを低減するための支援や措置を会社が提供することは、間接的に、組織に及ぶリスクを低減することに繋がります。

会社と家庭は関係ない。とされがちですが、家庭を、そして家族を守り、従業員が安心して仕事に打ち込める状況を作ることは、結果として会社に良い結果をもたらすことになります。自分だったらそういう会社に勤めたい。あなたもそう思いませんか?

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