標的型メールは見抜くことが難しい。は誤りです

セキュリティ教育なんてツマラナイと言わせないための第一歩

セキュリティ教育に関して常々思っていることに、従業員全員に何故、同じ教育を行っているのか?ということがあります。

例えば、営業マンと技術者では、セキュリティに関する知識も関心も全く違います。年齢による差もあるでしょう。しかし、セキュリティ研修などでは、知識も関心も興味も全く異なるのに、十把一絡げに、同じ内容の研修を行っているケースが多々あります。

セキュリティ教育研修担当者が抱える、ありがちな悩み

昨今はコストがかからず、時間に縛られることなく研修に参加させることができるということで、eラーニングを活用し、「理解度テストで8割以上正解だったら合格」のようなやり方をしているところも多いのではないかと思います。

しかし、内容が難しかったり、面倒だったりするとクレームが来るということで、答えを間違えてもすぐに正しい答が分かり、適当にやっても合格できるようになっているケースもあり、研修を受ける側からすると、いわゆる「やっつけ仕事」のようになってしまっているところも多いのではないでしょうか?

このようなケースだと、見かけ上の理解度は深まっているように見えても、実際にはそうでないということになりがちです。

もちろん、そんなことはよくわかっているけれど、厳しい試験などやろうものなら、教えるのも大変だし、忙しいのに何でこんなコトさせるんだ!的なクレームも来るしで、そこまではさすがにできない。といった現実は、研修担当者が抱えるポピュラーな悩みの一つでしょう。

興味が無いからやる気が湧かない、関心が無いから読もうとしない

研修は「理解させること」が目的ですが、人は興味の無いことに意識を向けようとは思わないものです。

毎日暇で暇でしょうがないという状況ならともかく、普通に仕事をしていれば、流れてくる情報の全てに神経を使っていたら疲れてしまうだけなので、余計な情報はシャットアウトして受け入れない。というのが自然な反応だと思います。

強制的に研修を受けさせることによって、情報を受け入れるようにすることはできますが、興味が無ければ、それはその人にとっては余計な情報として位置づけられているので、頭の中に採り入れられても、よほど興味を惹くキーワードでも無い限り、情報は頭の中をスルーして消えていくだけになります。

この結果、数日も経てば、研修したことは覚えていても、内容はほとんど覚えていないということが起こるわけです。

折角研修を行っても、これでは意味がありませんよね。頭の中をスルーして消えていく情報のために貴重な予算を使っているのかと思うと、悲しくもなります。

しかし、これは興味がないのに、無理矢理詰め込もうとしているからに他ならないからで、自業自得と言えなくもありません。

研修の効果を出そうと思うなら、やはり、脳が情報を受け入れる状態になっているところで行うべきで、そうでないのに無理矢理、情報を詰め込もうとすることは、圏外にいる相手に電話をかけようとするくらい、無駄なことと言えるかもしれません。

興味を喚起させるには、対象を知るところから

お子さんをお持ちの方なら、大抵は実感されたことがあるのではないか?と思うのですが、子供はゲームやおもちゃなど、興味のあるものとなると、ものすごい集中力を発揮しますが、勉強となると10分ともたない。なんてことがあります。

子供は本能に忠実なので、実にわかりやすいのですが、本能自体は大人になってもそう大きく変わるものではないので、子供に当てはまることは、大人にも当てはまるということは多くあります。

大人もやはり子供と同じで、興味の無いものには集中力を発揮できないので、

集中力を持続させることができない。

でも、仕事だから聞かないといけない。

でも、集中できないから聞く気がしない。

結局、情報が頭の中をスルーしていくだけ。

となってしまうというわけですね。

興味を喚起するポイントは、「自分の成長に繋がるか?」「それを知っていると役に立ちそうか?」「それ自体が面白そうか?」など、幾つかありますが、どこに興味を持つかは、人それぞれ。

あなたの会社がWebマーケティングに力を入れているなら、ユーザーのニーズや興味にきめ細かく応えるよう、ユーザーを幾つかのセグメントに分け、それぞれのセグメントに対するアプローチ方法を試行しているはずです。

AIDMAの法則ではないですが、セキュリティ教育に関するアプローチもこれと同じ事が当てはまると思います。

やらされ感を持って参加する研修よりも、やりたい感を持って参加できる研修に。ここはセキュリティ担当者の腕の見せ所であると思いますし、また、営業やマーケティングにも通じるスキルを磨くという点でも、ユーザーに合わせたアプローチ方法を考えることは、有用な経験になると思います。

そして、何より、誰もが興味を惹くような企画を考えることは、それ自体が楽しいもの。セキュリティ担当者はやることが一杯なので、つい、面倒くさくなってしまいがちですが、自身のスキルアップにも繋がるのですから、面倒くさがることなく、是非、取り組んでみて頂ければと思います。

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